日本の弁護士業界において「即独」、すなわち司法修習を終えた直後に他の法律事務所等に勤務せず、独力で法律事務所を開業する弁護士の割合や人数は、どれほどなのか。このテーマは、法曹界への新規参入やキャリア設計に関心を持つ方々にとって、極めて重要な検索意図を持つキーワードである。
近年、弁護士数自体は増加傾向にあるものの、即独を選ぶ新米弁護士はごく少数派となっている現実がある。法曹人口の拡大や就職環境の変化を背景に、即独の割合は年々低下し、直近では新規登録弁護士のうち1%台前半にとどまっている。かつては3%近くを占めていた時期もあったが、今や即独は希少な選択肢となった。

本記事では、最新の統計データや業界動向をもとに、即独弁護士の人数と割合の推移、その背景や地域的な偏在、今後の見通しまでを多角的に解説する。これにより、即独の実態を正確に把握し、将来のキャリアプランや独立開業の判断材料を得ることができる。
特に、法曹界を目指す学生や若手弁護士、独立志向の強い方、そして地方での弁護士不足に関心を持つ読者には必見の内容である。
即独する弁護士の割合は約1%台前半で推移
近年の統計によれば、司法修習を終えた新規登録弁護士のうち、即独を選択する者の割合は約1%台前半で安定している。具体的には、2019年の第71期で16人(約1.1%)、2020年の第72期で20人(約1.3%)、2021年の第73期で15人(約1.2%)と推移している。
この割合は10年前の3%近くから年々減少してきた結果であり、弁護士業界の就職環境やキャリアパスの多様化が影響している。かつては就職難からやむなく即独を選ぶケースも見られたが、近年は企業内弁護士や大手事務所の採用枠拡大など、他の選択肢が広がったことも即独減少の一因である。
即独を選ぶ弁護士は、開業資金や人脈、実務経験の不足といったハードルを乗り越える必要があり、現実的には多くの新人弁護士がまずは法律事務所等に勤務し、経験を積んでから独立を目指す傾向が強い。
弁護士全体の増加と即独の人数推移
日本の弁護士数は2000年代以降、司法制度改革の影響で大幅に増加した。2024年3月時点で弁護士登録者数は45,808人に達し、毎年800~1,000人規模で増えている。新規登録弁護士数も、2007年には2,000人を超えたが、直近では1,200~1,400人台で推移している。
この増加傾向の中で、即独を選ぶ弁護士の絶対数は年間15~20人程度にとどまっている。全体の弁護士数が増える一方で、即独の人数や割合は横ばいか微減という現象が続いている。
即独弁護士の減少は、法曹界の多様化やキャリアパスの選択肢増加を象徴している。独立開業のハードルが高い現実を反映し、経験やネットワークを重視する傾向が強まった結果といえる。
1人事務所の増加と独立開業の現状
法律事務所全体のうち、1人で運営されている事務所の割合は年々増加している。2024年時点で全法律事務所数18,470のうち、1人事務所は11,436件であり、全体の約62%を占める。この割合は過去5年で1.5%ほど上昇している。
1人事務所の増加は、独立開業志向の弁護士が一定数存在することを示している。ただし、即独に限らず、数年の勤務経験を経て独立するケースが大半である。弁護士歴5年以上で独立する割合が50%を超え、10年以上で75%を超えるなど、経験を積んでからの独立が一般的である。
即独は少数派だが、長期的には多くの弁護士が最終的に独立開業を選択する傾向が根強い。
地方と都市部で異なる即独の実態
即独弁護士の多くは都市部で開業している。地方では新人弁護士自体の登録数が極めて少なく、即独する弁護士はほとんど見られない。2024年には秋田や高知など8つの弁護士会で新人弁護士の登録がゼロとなり、司法サービスの地域格差が顕著となっている。
都市部では大手事務所の採用枠拡大や企業内弁護士の増加など、就職先の選択肢が多い一方、地方では弁護士不足が深刻化している。即独を選ぶ弁護士が都市部に集中する構造は今後も続く見通しである。
地方での即独や独立開業を支援する政策やインセンティブの必要性が指摘されている。
今後の即独動向とキャリア設計への示唆
即独弁護士の割合は今後も1%台前半で推移する可能性が高い。弁護士人口の増加や就職環境の変化により、即独以外のキャリアパスが多様化しているためである。特に若手弁護士は、まず事務所勤務で実務経験や人脈を築き、その後に独立を目指す流れが主流である。
一方で、1人事務所の増加や独立開業の安定した推移からは、長期的に見れば多くの弁護士が独立を志向していることがうかがえる。即独を目指す場合、事前の準備や情報収集、経営ノウハウの習得が不可欠である。
即独の現状と推移を正確に把握することは、将来のキャリア設計や独立開業の判断に大きな示唆を与える。